2013年、第15回お江戸散策は、当初の実施日を雨天により1週間延ばしたにも関わらず、愛好者13名が田端駅南口に集い、快適な天候にも恵まれ、爽快な気分で出発しました。坂を上り下りして、数分のところにある大江戸六阿弥陀第4番札所の真言宗与楽寺を最初に訪れました。六阿弥陀信仰は、江戸期において女人救済の阿弥陀様として、特に女性に人気があったそうである。次に、田端に二つある八幡神社のうち、田端下八幡神社が近くにある。この神社に隣接した別当寺である東覚寺には赤紙を貼った仁王さまがいて、病と同じ個所に赤紙を貼ると治ると言い伝えられ、治ったときに草鞋をあげる慣わしがあり、今日でも信者が多く参詣にきている。ここまでで出発から約30分ほど経ち、10時開館という田端文士村会館へと向かうことにした。ここ田端は明治後期から昭和初期にかけて多くの芸術家、文筆家たちが集まり、陶芸、絵画の腕を磨き、文芸雑誌、童謡などの創作に情熱を注いだところである、会館には彼らの作品や活動が多数紹介されている。これらの解説を読むだけでも、半日は掛かりそうである。 ここで紹介を受けた芥川龍之介の旧宅跡が近くにあるというので、予定外であったが立ち寄ってみることにした。しかしそこには、旧宅跡の説明版があるだけで、マンションが建てられていました。もう一つの八幡神社に隣接した寺院に大龍寺がある。ここの墓域の竹笹が生えている所には俳人正岡子規の墓があり、多くの子規ファンが墓参に来ている様子が偲ばれる。大龍寺から北に向かって、しばらく歩くと踏切があり、超えた所の右手に園勝寺がある。ここの墓域には石州流茶道開祖伊佐家代々の茶人達が眠っている。 ここまで来るとランチタイムになり、旧古河庭園の中でお弁当を食べることにした。ここ古河庭園は、当時一流の建築家ジョサイアコンドルが設計した西洋館、および和式庭園の作庭で当代随一と言われた小川治兵衛が手掛けた和風庭園でできている。庭園内は、ソメイヨシノはすでに散っているが、八重桜、真紅の躑躅、チューリップなどが微香を放って咲いている。眺めて良し、歩いて気持ちが晴れやかにしてくれる、素晴らしい庭園である。それぞれが持参した昼食を、美しい庭園のベンチで食べるのは、なかなか一興である。
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