〇熊野神社は、正和元年(1312)西蓮寺住職が紀州熊野三社から権現を勧請し、 当地、志茂村の鎮守としました。現在の社殿は昭和43年に改築されたもので、社殿右の末社が、旧本殿で、江戸期の文政5年(1822)に造られたものです。毎年2月7日には「白酒祭」という行事が行われます。
この祭は総代たちが弓矢で、大きな丸に「鬼」と書かれた的を射抜き、その年の吉凶を占います。 その後に白酒(甘)と短冊形の切り餅が参拝者にふるまわれます。 こうした行事は都内では数少なく、地域の生活文化を知るうえで大変貴重で
北区無形民俗文化財(風俗慣習)に指定されています。江戸期まであった別当寺は正光寺です。
〇別当とは、すなわち「別に当たる」であり、本来の意味は、「別に本職にあるものが他の職をも兼務する」という意味です。別当寺は、神社の祭神が仏の権現であるとされた神仏習合の時代に、「神社はすなわち寺である」とされ、神社の境内に僧坊が置かれて渾然一体となっていました。神仏習合の時代から明治維新に至るまでは、神社で最も権力があったのは別当であり、宮司はその下に置かれていました。
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