薬王寺

薬王寺
薬王寺は日蓮宗の寺院で、江戸時代より続く由緒ある寺です。静かな住宅街の中にあり、都会の喧騒から離れた落ち着いた雰囲気が特徴です。この寺の境内には、江戸時代の著名な俳人「加賀の千代女(千代尼)」にゆかりのある古井戸が残されており、「朝顔の井戸」として知られています。加賀の千代が詠んだとされる有名な句は以下の句です

「朝顔に つるべ取られて もらい水」
この句の解釈井戸の釣瓶(つるべ:水を汲むための桶)が朝顔の蔓(つる)に絡まってしまい、水を汲もうとしたけれど、朝顔の花を傷つけなくてもらい水をしたと言う意です。
(あさがおに釣瓶を取られたけど、もらい水はしたくなくて、近所の家から水をもらったという情景を詠んだものです)
この句は、自然への思いやりと慎ましさを表しており、江戸時代の風流と人情を象徴するものとして広く知られています。

加賀の千代 (1703 – 1775年) 出身:加賀国(石川県) 
千代女は、江戸中期を代表する女性俳人で、多くの叙情的な俳句を残しました。女性としての感性を生かした作品が多く、特に自然や季節を繊細に捉えた句が評価されています。門人も多く、晩年は仏門に入り「千代尼」と名乗りました。
上述の「朝顔に〜・・・」の句は、彼女の代表作であり、日本人の自然観や美意識をよく表しています