■十思(じゅっし)公園
江戸・伝馬町牢屋敷、江戸時代の幕府直轄の牢獄で、現在の中央区日本橋小伝馬町付近に位置していました。元和(げんな)8年(1622)に設置され、明治初期1875年に市ヶ谷監獄が設置されるまで使用されました。牢屋敷は主に江戸で捕えられた罪人や取り調べ中の者を収容する施設で、「北町奉行所」の管轄下にありました。牢屋敷には男女別の牢や、罪の軽重に応じた部屋があり、牢内の秩序維持のために「牢名主」や「同心」が配置されていました。拷問や取り調べも行われ、「石抱き」などの厳しい手段が使われることもあり、牢屋敷には処刑場も併設されていました。
蔦屋重三郎が「好色本を販売した罪で投獄されたのもこの牢屋敷でした。その他、著名な囚人としては、高野長英、安政の大獄で処刑された吉田松陰(しょういん)や橋本左内(さない)などがいました。跡地は、現在、十思公園が建てられ、「時の鐘楼」や「吉田松陰終焉(しゅうえん)之地」などの記念碑が建てられています。江戸の治安維持と司法制度を象徴する施設として、重要な歴史的役割を果たしました。
身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留めおかまし 大和魂 吉田松陰 辞世 |
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