東本願寺
渉成園
渉成園
園名の「渉成園」は中国六朝時代の詩人陶淵明の散文作品である『歸去來兮辞』(ききょらいのじ)の一節から採られたものといいます。それに園内には、江戸時代の歴史家 頼山陽によって「渉成園十三景」と名付けられた美しい建物や風景が存在します。そのうち、六景の解説を紹介します。

1.印月池(いんげつち)
渉成園の6分の1を占める大きな池。東山から上る月影が水面に美しく映ることから、この名が付けられました。鏡のような池の水面が自然を映し出し、趣深い光景を作り出しています。

2.侵雪橋・回棹廊
印月池に架かる2つの橋。「侵雪橋(しんせつきょう)」は反り橋である一方、「回棹廊(かいとうろう)」は檜皮葺の屋根を持つ橋です。
見事な景観を作り出しており、実際に橋の上を渡ることも可能です。

3.漱枕居(そうちんきょ)
印月池の西南に位置し、水上に乗り出すように立つ建物。秋のライトアップ時には幻想的な装いに変貌します。

4.臥龍堂(がりゅうどう)
印月池に浮かぶ南大島のこと。元来は、この島に建てられていた小さな鐘楼堂を臥龍堂と呼びましたが、安政の大火の折に焼失し、今は礎石が残されています。

5.傍花閣(ぼうかかく)
山門にあたる位置に建てられた建物。奔放で軽快な構成と穏やかな数寄屋造りの手法を兼ね備えた、個性的な建築です。
傍らには桜並木が広がり、春にはその名にふさわしい佇まいを見ることができます。

6.滴翠軒(てきすいけん)
池に面して建てられた建築物。緩やかな屋根が軒を差し出し、縁側が池中に張り出しているのが特徴。池の背景には「キリシマヤマ」と呼ばれる築山があり、南側の生垣と共に他の庭から切り離された作りになっています。