待乳山本龍院 (聖天)

本龍院本殿 二股大根と巾着紋(無病息災、夫婦和合を象徴) 

待乳山本龍院(聖天)における信仰内容は、日本の密教的な聖天信仰の中でも非常に深く、かつ独特な側面を持っています当院のご本尊:大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん)と言います
起源はインドの象頭神「ガネーシャ」。日本では仏教(密教)に取り入れられ、歓喜天または聖天として信仰されています
夫婦一対の神として祀られ、二尊が抱き合う「双身歓喜天」で秘仏とされています。聖天さまは「欲望を肯定し、清め、成就させる仏神」とされ、多くの現世利益をもたらすと信じられています。

主なご利益:
(願いごと)                  (内容)

商売繁盛                     財運・事業成功・店舗繁栄など
金運招来                     財宝を呼ぶ神としての信仰
夫婦和合                     男女の縁を結び、和合させる
良縁成就                     恋愛や結婚などの縁結び
厄除け・病気平癒           心身の毒を祓い、健康回復を助ける
受験・仕事成就              人生全般の「現世利益」を叶える

お供え物
聖天さまの信仰には、以下のような独自のお供え物が重要です。

(お供え                      (意味・理由)
大根(だいこん)                   体内の毒をい、健康・夫婦和合の象徴。白くて丸い大根は聖天さまの慈悲の
                  象徴とされています。

巾着袋(きんちゃくぶくろ)      布袋(ほてい)     金運・財宝の象徴。巾着型のお守りなどが授与されます。
    大根は供養後に「お下がり」としていただくこともあり、「食べることでご利益が身に宿る」とされています。

清浄な心が重要
・・聖天(しょうでん)さまはとても清浄を重んじる神格とされ、以下のような心がけが大切です。
・・欲深すぎないお願いをする
・・嘘をつかず、誠実な生き方をする
・・約束した供養やお礼参りを必ず果たす

参拝作法の特徴
・・ 本尊は秘仏(非公開)で、直接見ることはできません。
・・ 願い事をする際は、** 神仏への約束(誓願) **と考え、真心で向き合います
・・ 成就したら、必ずお礼参りをすることが大切とされています。

 聖天信仰の背景にある思想
・・ 密教的な思想に基づき、「欲望もまた悟りの道具となる」という考えがあります
・・ 聖天信仰は「人間の煩悩を否定せず、制御し、昇華して願いを叶える」

 待乳山
聖天
の信仰とは願いを叶えてくださるけれど、真心と誠実な信仰を求める神
  待乳山聖天は、ただ願えば叶うという甘い信仰ではなく、「自分の心を清め、誠実に生きることで
  神仏の加護を受ける
」という、強く深い信仰の在り方を教えてくれる場です。

  日本を代表する時代小説作家である池波正太郎 (1923年1月~1990年5月)は待乳山聖天宮(本龍院)の近くで生まれました。 江戸情緒の残る浅草で育ち、幼少期から芝居や講談、映画などに親しみ、江戸の人情や武士道、食文化などを巧みに描き出して、「池波文学」と称される独自の世界観を築きあげ、人気作家となりました。その功績を称えられ、2007年11月、待乳山聖天公園に生誕地碑が建立されました。池波正太郎は自身のエッセイに「大川(隅田川)の水と待乳山聖天宮は、私の心のふるさとのようなものだ」と記しており、小説の舞台にも待乳山聖天や近くの今戸神社、橋場などをたびたび登場させています。
代表的な小説には
『鬼平犯科帳』(1967年〜)
  江戸幕府火付盗賊改方長官・長谷川平蔵(通称・鬼の平蔵)を主人公とした人気シリーズ。
  義理と人情、罪と赦しを描くヒューマニズムあふれる作品。
『剣客商売』(1972年〜)
  老剣客・秋山小兵衛と息子・大治郎の親子の絆を軸にした、円熟した時代人情劇。
  老境の達観と江戸の粋が融合。
『仕掛人・藤枝梅安』(1972年〜)
  表向きは鍼医者、裏では「仕掛人」として悪を葬る梅安の活躍を描く。
  ダークヒーロー的魅力と倫理の葛藤が特徴。